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海外マニアのレア物 SIDE WINDER エアーソフトガン

トイガン紹介
海外マニアのレア物 SIDE WINDER エアーソフトガン
「ワンオフです。」トイガンも実銃もそうした類の製品は必ずある物だ。

値段は上を見上げると限がないが、所有欲を満たすにはそうしたカネ勘定を無視して注文する顧客が必ずいる。

外観は既製品では考えられない物、つまり量産金型はありえない。量産を考慮した形状や手触り、安っぽい質感はその顧客は求めておらず「誰も持っていない」という欲求だけを追う。

他人が持っていない物を追い続けるのは「特殊な考え」だと凡人は言うだろう。なぜそこまで徹底するのか?そしてそれから何を得られるかは普通の行為を日常的に行っていては到底理解できない。


当然、美的センスにもコレは繋がる。そこらのチラシを悪くいう訳では無いが、そればかり見ても高級ブランドの良さが解るわけも無く、ブランドだけを漁っても品物の品格と良さが理解できるものでもない。

極端的な発想は控え、製品の良さを追い求める。それは絶妙でなければならない。そして製造者も同じにする事で製品の質は向上するのである。

この考えは数行では物足りない奥深さがあって面白いのだが早速本題を始めよう。
※本稿は海外マニアの所有するエアソフトをご紹介しています。日本国内では銃刀法の「模造けん銃」に該当する製品となります。


●CT BRIAN CUSTOM
CT BRIANはアメリカのガンスミス(鉄砲鍛冶)サービスを行っている。当然、店名は創業者の名前が使われる事が殆どだ。

筆者の知る限り10年は殆ど更新されておらず、最近のSNSなどは使わない「ある程度の顧客」のみを相手にするビジネスだ。

殆どが1911(日本でいうガバ・ガバメント型)のカスタムでプロダクトを形成しており、全てに手作業が入るフルハウス1911という製品ばかりだ。

CT BRIANのホームページを見ても、彼の製作する1911はその個性が一目で解る作りで、特にサンドンブラストと側面のヘアラインによるコントラストが高級感が漂う。

スライドのエジェクションポート側(排莢口)の側面先端には殆どのモデルに「CT BRIAN CUSTOM」のロゴがエッチングで入り。その個性は1段と確実な物へ豹変させるのだ。


彼はレースガンの類は製作しない。コンペセイターなど当然無く「ストリートで使用する事を前提」と明記されている。

つまり、これ程美しい銃でありながら「実戦的で常日頃愛着を持って傍に置いておける」そうした銃を製作している。


●CT BRIAN ”SIDE WINDER” 
CT BRIANは2001年に「SIDE WINDER」というモデルを発表している。

海外の専門誌では割と大きく取り上げられたが、日本の雑誌では1枚写真が掲載されただけで殆ど知られていないモデルだろう。

SIDE WINDERはKIMBER製ウルトラキャリーベースで仕上げられたコンシールド1911。スライドの全長は短く、ハンマーもダウンした時はスライド側面と同じラインでカットされている。(ハンマー及びグリップセフティのこの加工は”Flush Fit”と呼ばれる)

スライド・フレーム・バレル・リコイルガイドロッドはそのまま使用しているが、その他のパーツは全てより品質の高い物に置き換えられている。

KIMBERではMIM(メタルインジェクション)という製法でパーツを製造していて、金型と焼結によるこの製法は、材料やコスト・生産数などのメリットが優れているが、強度上のデザイン制約が僅かにあり

CT BRIANは焼結法の耐久性の信頼があまり無いと当時に思っていたようだ。よってSIDE WINDERではCNC加工されたパーツを主にフィッティング(パーツの作動調整)している。

コンシールドつまり秘匿性に優れた形状に作り直す為に、ベースガンから大まかに言えば23項目の工程を追加しており、これらの処理を全面に施された銃は通称「フルハウス1911」と呼ばれる。

●SIDE WINDERエアーソフト ワンオフ版
写真は全てエアーソフトでワンオフ製作されたSIDE WINDERモデルである。

所有者は香港に在住するコレクターであり、これは貴重な玩具模型と言える。

中国返還前の香港は非常に多くのエアーソフトガンスミスが存在し、フロアビルの一角ではNCマシンやEDMがアルミブロックを削りだし、まだ世に出ていないSTIやSVなどのエアーソフトガンが多数存在していた。

またイギリス領であった為に実銃関連の店舗も存在し、会員制の実物シューティングレンジも存在したという。まさにエアーソフトカスタムの聖地であった事は間違いない。

このSIDE WINDERは非常に凝った作りで、一部は実物と同じ独自形状を再現する為に特別な部品を幾つか製作したようだ。

特にバレルは実物同様に偏芯しており、先端10ミリ程度でダミーのライフリングそして、エアーソフトである証のインナーバレルが存在する。

リコイルスプリングガイドロッドも実物と同じ様な機構で、解りやすく言えばG26のガイドロッドに近い。異なるスプリング2種を併用させている。

スライドはアルミ・プレーンから製作、専用のセレーション加工が施され、実物同様にサイドポリッシュと刻印を、最後にアルミブルーで黒染めされている。

フレームも同様に5インチフレームからカット。フレームとメインSPハウジングはボブテイルと呼ばれるラウンド加工が施される。梨地のテフロン塗装で同じく刻印が施されており、この部品2点でほぼSIDE WINDERの形状は満たされていると言ってよい。

フロントストラップとハウジングは30LPIのハンドメイドチェッカーが彫られている。

ハンマーとグリップセフティーは実物同様「Flush Fit」され、ハンマーの形状からダウン状態でキャリーしておくか、コック&ロックでキャリーするかは射手次第というビギナー向けではない製品だ。

マガジンキャッチ・サムセフティーとスライドストップはエッジを面取りされている。マグキャッチはフラットで特に高さが絶妙で押しにくい事も無くキャリー時に不用意にマグキャッチが押される事もない。

グリップはスネークウッドのダブルダイアモンド。木製グリップで有名なキム・アーレンの作品だ。


さて、長くなったがここまで手を込んだ1挺は中々お目にかかれない。

模倣という言葉は悪く感じるようで、模型というアイテム上これは付き纏う。最新の設備でカタチを真似をしても闘う為のあの気迫は再現できない。それは軽薄の道化である。

そっくりを備えたそのままのレプリカは誰かの手にかけてこうして生まれた。所有する人間も製作する側もカネ以上の何かを得られればそれで良い珍しい事例と言えよう。

この模型銃も名刀の様に使用するよりか保存という形で残る。こういった「遊び」が必ず世の中には存在するという事を知っておいてほしい。

Text: Ocean


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