【ピースコンバットフェス】銃器インストラクター Chris Costa 氏来日記念インタビュー ④
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ジミー・ヘンディリクス:
それにしても、日本のエアソフトコミュニティがインストラクターなしでここまでやってきたというのはとても驚きだ。
クリス・コスタ:
手に入る限りの情報で頑張っているのは素晴らしい。DVDを見るのと実際にクラスを受講するのとでは違うもので。見ただけでは理解できないものだよ。
DVDは教育的で、練習に出かけたくなるくらいモチベーショナルで、そしてエンタテイメントでなければならない。この3つが必要だ。教育的すぎるとつまらないし、エンタテイメントすぎると学ぶことができない。練習したくならなければ目的を達成することができない。
冗長過ぎると退屈で続きを見てもらえなくなってしまう。だから編集でカットされたものもたくさんある。すべての情報を伝えきれないんだ。
MilitaryBlog:
そのことについてなんですが、あなたはインストラクターとして優秀なのはもちろんですが、そのスキルの見せ方、人のひきつけ方もうまいように思います。そうした技術はどう身につけたのでしょうか。
クリス・コスタ:
そうだな……これは難しい質問だ。いつも僕の妻に言うんだけど、僕は誰かが僕を褒めても信じられないんだよ。鵜呑みにはしないことにしている。謙虚さを忘れないようにしているんだ。この業界では、僕を知らない人が僕がいろいろ見せびらかしていると思い込むこともよくあるからね。
教えることにおけるショーマンシップがなんで必要かというと、まずクラスを楽しくしたいからだ。楽しければ、よりよく学ぶことができるからだ。
僕は学生の頃、ある先生の経済の話が面白くて株のブローカーになろうと思ったことがある。経済学は世界でもっとも無味乾燥のトピックだがその先生の話は本当に面白かった。そういう情熱、楽しさがクラスには必要だ。だから経済学の成績はとてもよかった。だから生徒にも楽しんでほしいと思っている。射撃を楽しみ、目標を達成できるようになってほしい。
もちろん、クラスを受けた後、あなたや家族を襲う悪者を倒して生き残れるようになってほしいというのが第一だけどね。楽しさも大事だ。だいたい銃業界ではそのあたりのバランスが、だいぶ硬い方に傾いていると思っている。
クリス・コスタ:
考えてみて欲しい。僕は多分、一番クール(注:ミリタリー業界ではマッチョで男っぽく寡黙な感じ)な感じじゃない人間だ。着ているものだって(ミリタリー的)クールさが過ぎないようにしている。アークテリクスのジャケットに、パンツはカーハート(注:ワークウェアブランド)だったりとかね。靴もタクティカルメーカーのものかは全く別にして、他の人がはかないものを探すことにしている。
つまりショーマンシップについてはこうだ。まずクラスの内容は真剣だ。その上で楽しく受講できるようにしたい。人を撃つ方法を3日間がっちりやるわけだから大変だと思う。
あるトピックの第一人者が、その知識をうまく伝えられないということはよくある。色々なバックグラウンドの民間人がやってくるクラスで「言ったとおりにやれ。私が長年このやり方でやってきたんだから、参加したいならこのやり方でやれ」というのは難しい。
僕のクラスは旅だ。僕は生徒を旅に連れて行く。僕のやっているとおりにやってもいい。そうでなくてもいい。僕らが達成する目標について説明して、そこに違う道のりで辿り着くかもしれない。それでいいんだ。僕と生徒では体型も違う。女性だと乳房がある。身長の高低によって、ストックの長さも違ってくる。体の大きな人は、姿勢を下げる方法も違う。ケガをして立ち上がるのが遅くなるなら立っていたほうがいい場合だってある。
それを全部決めてしまうのは僕の仕事じゃない。生徒自身が見つけ、決めることだ。これは生徒達の戦いだ。僕は彼らを、クラスでいろいろな状況に曝す。そこで考えられるようになってほしい。
多くの人は銃が命を救ってくれると思っている。実のところは精神だ。3日間のクラスで結局つくり上げるのは精神なんだ。その精神に働きかける。違うやり方、考え方で物事にあたれるようにね。そしてなにか一つを強制することはしない。生徒の選択だ。
MilitaryBlog:
今まで日本人の受講者はいましたか?
クリス・コスタ:
過去に日本国籍だった人はいたと思うがすべてアメリカ市民だ。国務省とITARの制限によって、まず国務省の認可を得たアメリカ市民しか受講することはできない。隣のカナダ人でもダメだ。アメリカ人以外はクラスでの写真撮影すら許されていない。
MilitaryBlog:
終戦70周年ということで、日米関係も変化しつつあり、こうしたタクティカル市場も広がりつつあります。将来日本でトレーニングを提供するという機会はあるでしょうか。
クリス・コスタ:
もちろんその機会はもちたい。ただし法律が許す限りにおいてね。
軍や警察での訓練については、まず日本の当局から「クリス・コスタを訓練によこしてほしい」とアメリカ国務省に依頼が送られる。その上で依頼に合わせたカリキュラムを提出し許可を得なければならない。そういう仕組だ。
普通の射撃だけではなく、例えばタクティカル・ドライビングやCQB、ローライトなどの依頼があったとしよう。こうしたカリキュラムを提出すると、一部は認められたり、認められなかったりする。これが今の国務省のやり方だ。馬鹿げている。
数年前だったら日本でトレーニングを行うことも可能だったが、近年いわゆる民間軍事会社が海外の軍隊をトレーニングしていることが問題になって国務省は神経を尖らせてしまった。物事はもっと簡単にできる。「実銃を使った訓練は禁止」でいい。これならエアソフトで訓練できる。でも全部一律で禁止だ。
エアソフトでの訓練で戦闘能力を持つことは十分に可能で、中にはそうしたことに取り組んでいる人もいる。昨日のパーティでも言ったが、エアソフトは日本人にとって「内なる戦士」を表現する方法になっている。その炎を消さないように保つには何か「覆い」が必要だ。
聞き手: dna_chaka
パート5へ続きます。
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