国際軍事見本市「MAST Asia 2015」その2

カルフォルニア州サンディエゴに本社を置く大手軍需産業企業だ。1955年に原子力技術開発を目的として設立された。核燃料サイクルの遠隔監視、操作技術は無人偵察機や空中センサ、無線技術、レーザー、電気、電子技術に応用される事となる。

2/5スケールの模型展示。
その名の通り、永久磁石を使用した高出力のドライブモーターである。電気、電磁関連の技術は同社の得意とするジャンルであり主力商品となっている。

映画等にも度々登場し、一般知名度の高い無人偵察機Predator(プレデター)を大型化し、長い航続距離、高い監視力と兵装を持たせたプレデターBは、米空軍用MQ-9 リーパー等、現場のニーズに合わせた様々なバリエーションが存在する。このガーディアンは、海事運用を目的とした仕様だ。同社は、multi-mission maritime patrol(多用途任務用海上巡回警備)と明記している。
プレデターBシリーズはC-130輸送機による空輸を想定しており、現地での組立も簡便であるという運用の容易さも強みである。2名の操縦者による遠隔操作と自動操縦機能で、高度な監視、攻撃行動を行う。最大高度5万フィート、最大対気速度240KTASで最大27時間の運航が可能だ。

遠隔操作可能な無人機は、安全性、運用効率、価格等、高い費用対効果を持つ事から最近の軍需産業のトレンドの一つとなっている。
INSITUは米国ボーイング社の子会社であり、無人航空機とそのシステムを企画、開発、販売する企業だ。

同社の無人偵察機の特徴の一つは、小型軽量であることと特殊な発射機と回収機を使用する事だ。写真は大型のインテグラである。米海軍が2013年より、同海兵隊が翌年より正式採用し呼称をRQ-21A Blackjack(ブラックジャック)と改めた。

インテグレーターより更に小型の無人機がスキャンイーグルである。当初はマグロ等の大型回遊魚の探査を目的に開発されたが、高い耐久性と低価格により、ベストセラーとなった。改良を重ねながら製造を続けており、陸上自衛隊にも納入実績があるという。



具体的な展示はなく、もっぱら商談の為のスペースである。複数の国の軍関係者、企業がカンファレンスに参加していた。

ロッキード・マーティン社のセンスと遊び心に驚き、感心させられる。日本人だけでなく海外のバイヤー達の興味も強く引き付けていた。

創業者トーマス・エジソンの名を知らない日本人はまずいないだろう。エレクトロニクス産業、医療、鉄道、化学、金融等、その事業は多岐に渡る。本ブースのGE Marine(GE マリン)は、本年より発足した新組織である。海事事業を強化、推進し世界市場に展開する。

船舶用ガスタービンエンジンは同社の主力製品だ。このLM500は軽量かつ低燃費であり、巡視船や水中翼船向けのモデルである。同クラスのガスタービンと比べ最高燃費を誇るという。各国の船舶に使用されており、日本では海上自衛隊はやぶさ型ミサイル艇等に搭載されている。出力6,130SHP(4,570kw)、パワータービンスピード7,000rpm

世界33ヶ国の海軍で使用されているベストセラーである。
海上自衛隊では、こんごう型、むらさめ型、たかなみ型、あたご型、ひゅうが型、いずも型と、近年の護衛艦の搭載エンジンはほぼ全てが、このLM2500である。高い熱効率が得られる優秀なエンジンであるだけでなく、非常に扱いやすい設計であることも特徴の一つだ。コンテナ化されたユニットは、搭載艦からの取り外しも容易であるという。出力33,600SHP(25,060kw)、パワータービンスピード3,600rpm

創業者ウィラード・ロックウェル氏の死後、通信関係の技術に特化した部門が独立して設立されたのがこのロックウェルコリンズ社だ。航空電子ソリューション、通信技術におけるパイオニアである。

左から、GR-2000/2500(2ch)、TIGGR(1ch)、AR-1000/1500(1ch)、AR-2000/2500(2ch)
先月(5月)カナダ軍向けにお披露目された製品だ。

運搬移動が容易な設計で、大型のトランクに格納することで、一名の人員での移動が可能である。展開も容易で、トランクの上にラップトップPCを2台、インタフェース機器類を接続して即座に機能する。


レンズの向こう側は、高解像度で非常にリアルな風景が広がっている。
同社は世界中、すべての地域を三次元描画することができるという。この仮想世界もまた、世界のどこかに全く同じ地形が存在するという事なのだ。


画面の中には、友軍の車両が陣を組んでいる。首を回せば360度、奥行きを感じる風景が続き、見上げるとM2機関銃が銃座に取り付けられた装甲車で移動している事を理解する。車両の移動はジョイスティックを使用する。パソコン画面では、上空から俯瞰して作戦行動を監視できる。
歩兵だけでなはく、航空機等、シュミレータの範囲は多岐に及ぶ。今回のフライトシミュレータは、F/A-18Eスーパーホーネットが用意されていた。
事故の心配がない上、訓練コストも安くする事ができる。それでいて、ゴーグルをかければ現実の世界と同じ状況での訓練ができる。
筆者は何度も任務に失敗して墜落してしまったが、過去の実験では中学生のビデオゲーマーがすぐに順応し、プロ並みの操縦技術を獲得したという。
Text: Acorn
Photo: Itsuya