ゴーストリコン フューチャーソルジャー:プレイレビュー2
遂に 7月5日 に発売を迎えた「ゴーストリコン フューチャーソルジャー」(以下、「GRFS」と記載)。重厚なストーリーと美麗なグラフィックスで描かれる圧倒的な戦場。現実世界において近い未来に訪れるであろう本作が描く戦場は、既に世界中のマーケットで大きな支持を獲得している。
さて、今回のプレイレビューでご紹介するのは、前回から引き続いたストリーモードにおける後編。世界を股に掛けて暗躍する武器密輸組織の痕跡をたどり、世界平和の実現に激しい戦闘へ身を投じる米軍特殊部隊ゴーストを追う。
風景は前半と打って変わって雪山を望むロシア。
このステージでは、後半戦を総括してカギを握る無人機が登場する。ウォーハウンドは、ロシアの現用主力戦車 (MBT : Main Battle Tank) T-90 をも破壊できる、強力なウェポンシステムを持つ。敵にとっても大きな脅威となるのは間違いない。
「近い未来、この戦場は現実になる」をキャッチフレーズに掲げたこの GRFS だが、攻撃力の有無は別として、実際のこのような 4足歩行型のロボットや無人の陸上ロボットの実戦配備に向けた動きが進められている。
DARPA (Defense Advanced Research Projects Agency:国防総省国防高等研究事業局) の LS3 (Legged Squad Support System) 計画では、米海兵隊 MCWL (Marine Corps Warfighting Lab) と共に推進し、2012年 にもその完成版を目指したいとしている。またイスラエル IAI (Israel Aerospace Industries Ltd.) では小型無人車両・REX (Robotic Logistics Carrier) の開発が進められている。REX では兵士と距離を置いて単に物資の運搬をするだけでなく、「stop」や「fetch」「heel」といった簡単な命令によって動きを指示することもできる。こうした現実での兵器産業の情勢を、本作の世界観とシンクロさせて見てみると「近い将来、こうなるであろう戦場の姿」として描かれた GRFS を、より深く愉しむことができるはずだ。
そしてもう 1つ 紹介しておきたいアイテムが EMP グレネード。これは爆発範囲内での電子機器を故障させ、HUD (Head Up Display) を無効化させることができる。ただし、ゴースト自身にも悪影響を与えないとは言い切れないので、使用の際には注意が必要だ。
ウォーハウンドによる圧倒的な火力を武器に、敵拠点を制圧するゴースト。無駄弾を撃ち込むとオーバーワークとなり、冷却時間を要することになるので、確実にロックしてから攻撃する必要がある。また、敵の中には APC (Armored Personnel Carrier : 装甲兵員輸送車) や装甲車がいるだけでなく、RPG を担いだ歩兵の脅威も忘れてはならない。これらの敵脅威の排除には、ウォーハウンドに搭載されている誘導ミサイルと迫撃砲とをうまく使い分けて攻略しよう。
また、ウォーハウンドの運用においては、圧倒的とも言えるその攻撃力だけでなく、防禦力の高さを利用した戦術の構築にも着目してもらいたい。「動く盾」としてウォーハウンドを活用することで被弾する確率は圧倒的に減らすことができる。ただし、チキンになり過ぎると敵を目視することができないばかりか、ウォーハウンドの攻撃モードが解除されないので注意が必要だ。
黒幕「レイブンズロック」の存在を知ったゴーストは、凶悪な兵器・武器が世界に拡散することを防ぐため、ロシア国内にある民間施設へのアプローチを試みる。ゴーストに与えられた次なるミッションは、ロシアの飛行場で積荷の輸送を阻止し、ミサイル誘導システムを破壊するといったもの。
このステージでは NVG (Night-Vision Goggle:暗視ゴーグル) がアンロックされる。薄暗い中 NVG を掛けて進むわけだが、わずかな光を増幅させている NVG の仕組み上、急激な明るさに対応できないところも再現されている。ゴーストが配置するその場の状況に応じて NVG モードの切り替えをする必要がある。隠密の行動、ステルス性が問われるステージだけに、やり過ごす勇気を持ちつつも、多数の敵が潜む一帯では仲間との連携、シンクショットにより一気に排除する大胆さを持ち合わせなければならない。
排気口を抜けてコルモルゴルフカ空港にたどり着いたゴースト。空港では飛行機の騒音を味方に付けて気付かれない内に敵脅威を排除しなければならない。加えてゴーストのメンバー以上に敵がいる場合はシンクショットの優先順位を、敵の動きに合わせてマーキングする必要がある。1回のシンクショット攻撃で同時に4名をロック、プレイヤー分を除けば3名での一斉射撃が可能だ。そして飛行機の離陸を阻止したゴーストは、無人ヴィークルを使って飛行場からの離脱を図る。付近に墜落した飛行機を捜索し、輸送品の破壊状況を確認する。次から次へと波状攻撃を仕掛ける敵に圧倒されながらも、友軍戦闘機の支援攻撃まで持ちこたえなければならない。激しい戦闘繰り広げられる中で、幾つか弾薬箱や武器庫が用意されているので、有効に活用しなければとてもじゃないが乗り切ることができない。
敵が一ヶ所に固まる傾向があるので、その時には LMG を腰だめで掃射攻撃して一挙に排除してしまおう。
ゴーストの活躍の一方で、ロンドンでは流血の事態が発生した。ロシアからロンドンへ向けて発射されたミサイルを追って、ゴーストは中央アジアのダゲスタンへ向かう。
このステージでは、雨が降りしきる中でのミッションとなる。ゴーストの使うシステムが何者かによってハッキングされたという設定だ。雨音と時折歪む視界、そして何よりも時間が制限される中でのミッションという悪条件に苦しむことになる。
ターゲットのグルジア特殊部隊の隊長を確保したゴーストを、敵の待ち伏せ攻撃が襲ってくる。ゴーストは周囲をぐるりと囲まれた最悪の環境の中で切り抜けなければならない。周りを囲んだ敵をよく見てみると今までとは異様な雰囲気の兵士らの姿が・・・。敵特殊部隊兵士が、ゴーストと同じく先進技術の光学迷彩を着用しているではないか!
装備のアドバンテージが無くなれば、残されるのは戦闘技量と仲間との連携プレイ。そしてこの最悪な状況を諦めずに戦い抜く強い意志が問われることになる。ダイヤモンドフォーメーションを崩さず戦い抜け!
ロシアのレジスタンスを支援するため、ノルウェー海に向かったゴースト。マイナス58度の極寒の地、北極圏・バレンツ海沖の油田が今回のミッション地だ。GRFS では世界を股に掛けて展開するストーリーであることは事前に聞いていたが、まさにその通りの展開。ここで振り返ってみるだけでも様々な国や地域を訪れ、多くのミッションに参加したことを思い出す。
さて思い出に浸っているのも束の間、ゴーストは停泊中の敵艦艇に侵入することになる。ここでも人数の面で圧倒的に不利となっているので、できる限り発砲は控えておきたいところ。確実に誰も見ていないような状況以外は、交戦せずスルーするに限る。艦内のごちゃごちゃした雰囲気ではそこらじゅうに障害物があるため、敵を精確に撃ち抜くことが難しい。このステージでは LMG の LSAT が推奨ウェポンとして支給されており、センサーグレネードと組み合わせて使用すると、敵の排除がスムーズに進む。障害物に隠れている敵をセンサーで炙り出し、LSAT で排除。弾薬量の多い LMG は心強い味方ではあるが、リロードに時間が掛かる。時間制限が設けられたこのステージ上には、途中にチェックポイントが幾つか設けられており、その都度まとまった数の敵が待ち構えている。その為、敵の排除を一挙におこなえるよう、移動の際に必ずリロードを行っておき、次の戦闘に備えておく必要がある。激しい撃ち合いの中での弾切れは、即死亡に繋がるので注意が必要だ。
北極圏でのミッションを後にしたゴーストが次に向かうのはロシア・コーカサス。ここでレジスタンスを率いるアレクセイ・ドゥーカ元帥をサポートするため、レイブンズロックを奇襲する。いよいよストーリーも終盤に近付いてきた雰囲気が漂うわけだ。
ミッションとして与えられた迫撃砲の破壊を終えたゴースト。成功裏にミッションを終え意気揚々のゴーストを待ち構えるのは居場所の分からない敵スナイパー。縁起でもなく墓場で得体のしれないスナイパーとの対決となる。敵スナイパーが持つスコープの反射や、発砲音、被弾した際の弾道やレーザーなどを手掛かりに、スナイパーの所在を探らなければならない。ゴーストのいる墓場を見下ろすように幾つもの高い建物があり、身を伏せて索敵する余裕が無いので見敵必殺で撃たなければならない。
「収容所に潜入し、ロシアのボロディン大統領を救出せよ」。
50,000フィート降下後、敵の拠点に侵入するゴースト。収容されているロシア大統領の救出をおこなうわけだが、ここでは今までの総決算とも言うべきこのステージではプレイヤー単独でのミッションが課せられる。その為、今までのようなチームからの支援はなく、HQから送られてくる指令のみで行動せねばならない。
ただでさえも多勢に無勢で挑むことの多い特殊部隊だが、その真骨頂とも言える単独潜入ミッションは俄然燃えてくるというものだ。というわけで、今まで以上にクレバーな行動が求められる。単独行動における重要なポイントの最たるものが「やり過ごす勇気」。時にはただの 1発 も撃たず、誰 1人 排除することなくチェックポイントへの到達を目指すべく、ステルス行動に徹することがミッション成功への近道。とにかく交戦を避けること。一度見付かれば数の上で圧倒的に多い敵勢力に囲まれて袋叩きに合い、ミッションは確実に失敗へと向かってしまう。
大勢の敵に囲まれる中で何とかロシア大統領の救出に成功したゴースト。次なるミッションはモスクワへ侵攻するレジスタンスの支援をおこなう。途中に遭遇するビルに潜むスナイパーは UAV を使って索敵し、シンクショットを活用すれば難なくクリアすることができるはずだ。幾重にも待ち構えている敵の強力な包囲網を突破し、最後の難関に立ち向かう。ここはもう、総力戦の名に相応しい激しい銃撃戦が繰り広げられる!!
さて2回に分けてお届けした GRFS プレイレビューだったが、そのボリュームの多さと内容の充実に驚かされる。ゲームプレイの戦術面では、どのステージにおいても大差はなく、要点を抑えていれば比較的スムーズに進行することができるはずだ。その大よそ要点となるものを改めてまとめてみよう。
まずは光学迷彩。敵勢力においても後半のストーリーでは光学迷彩を着用した部隊を差し向けてくるので、敵になって初めてこの装備の偉大さを実感する。とにかく敵に見付かりそうになれば伏せて、やり過ごすことが重要。動かずプローン状態であれば、よほど目の前にいる敵じゃない限りバレることは無い。逆にヘタに手を出すとタコ殴りの状況を引き起こしてしまう。
戦場では先に相手を見つけた側が圧倒的優位に立つ。光学迷彩で気付かれない状況の中で、少しでも優位に戦闘を進めるには、常に相手の動きを把握している状況を作るのが最重要。センサーグレネードは携行できる個数に制限があるのでそこらじゅうにばら撒くことができないが、ドローンであれば大よそ監視体制を構築できる。敵脅威の配置状況を偵察し、そのマーキングに専念することで、チーム全体の戦術を強固なものとすることが可能だ。
GRFS では、4名での行動が基本となっているので、チームプレイを最大限に活用することで、多勢に無勢の中でも勝機をぐっと近付けることができる。シンクショットを有効に活用するには、プレイヤーが放り込まれた戦場の地形と、敵脅威の位置関係を完全に把握している必要がある。その為に最も使えるアイテムがドローン。上空から送られるライブな情報を見て、上下の位置関係や障害物からの死角などのタイミングで使えば、敵の屍が山と化していく状況になる。一度上手くいくと病み付きになるのも、シンクショットの特徴かも?!
リリース時期を同じくしたトム・クランシー繋がりの映画「ネイビーシールズ」(原題:Act of Valor) をご覧の方も多いと思うが、GRFS でも実際に世界で起こっている紛争・戦争と同様に非常にシリアスな側面を描いたストーリーとなっている。5年 の熟成を重ねて厚みを増したリアルなストーリーについては、プレイヤー自らが映画のワンシーンに溶け込んでいくような錯覚に陥り、気が付くと何時間もぶっ通しでプレイを続けていることに気が付くはずだ。
またストーリーモードについては、1人 でのプレイだけでなく、友人らと共に協力しながらミッションを成功に導く「協力プレイ」をパワープッシュで推薦したい。これから迎える猛暑の季節において、バーチャルのサバゲーを楽しむならコレだ!!
- ジャンル:アクションシューター
- ハード:PlayStation®3 (PlayStation®Move対応) / Xbox360® (Kinect™対応)
- プレイ人数:オフライン 1人 / オンライン 最大16人
- 価格:7,770円(税込)
- 発売日:2012年7月5日発売予定